グランドループ(グラウンドループ)を経験したことはありますか?
実はグランドループというのは各所で発生していて、気にする必要がない場合と、対策の必要がある場合があります。
今回は、グランドループについて解説したいと思います。
代表的なAC/DCアダプターの回路方式
AD-9Vという型番で販売されているAC/DCアダプターです。 こちらは現在では珍しい、トランス内蔵タイプで、個人的には「最も美しい波形の9VセンターマイナスDCアダプター」だと思っています。 以前販売していた当店の製品 Dual HA epasにも標準付属しておりました。
現在も当店でも扱っていますが、トランスタイプには弱点がありまして、その一つに「サイズの割に出力電流が大きく取れない」ということが挙げられます。 コイルを巻いたものを2つ向き合わせ、それに見合った磁石が内蔵され、さらにそれを整流、安定化する回路も搭載しているため、出力の割には重く、大きくなってしまうのです。 そのため、現在ほぼ主流となった方式に「スイッチング方式電源」というのがあります。
トランス+安定化回路方式とスイッチング方式とここでは呼称します。
現在のTidemarkの製品ラインナップでおすすめしているAC/DCアダプターは同じ型番AD-9Vの2Aバージョンです。 つまり、大きさは大差ないですが、出力電流は実に10倍です。
オシロスコープで精密に波形を観測しますと、やはりトランス+安定化方式のAC/DCアダプターのほうが美しい波形なのですが、Tidemark製品は内部にクリーン電源回路を搭載しているものがほとんどですので、ある程度のノイズは機器内部で除去できてしまいます。
。。。と、どんどん宣伝っぽくなりましたので話の本題に入りますね。
このように、この程度の小型、安価という前提で比較すると、
〇音質(というか電源の波形の美しさ)はトランス+安定化方式のほうが勝っている。
〇サイズと出力電流はスイッチング方式のほうが勝っている。
ということになります。
なおこれは、この程度のサイズと価格帯におけるものであり、例えば10万円クラスの電源になりますと、スイッチング電源にも電源の波形が美しいものもありますし、トランス+安定化方式についてもサイズと価格を上げればもちろん大電流も得られます。
なぜこうなるのか、回路的にはどうなっているのかについては、また別の機会にご紹介します。
オシロスコープで精密に波形を観測しますと、やはりトランス+安定化方式のAC/DCアダプターのほうが美しい波形なのですが、Tidemark製品は内部にクリーン電源回路を搭載しているものがほとんどですので、ある程度のノイズは機器内部で除去できてしまいます。
AC/DCアダプターとは何なのか?
先程からAC/DCアダプターと表記していますが、このように呼ばれる製品の機能は主にこの2つです。
1.商用電源→コンセントから来ている電源→日本の場合100V から、目的の直流電圧にする機能
2.商用電源と、目的の直流電源を絶縁する機能。
アイソレートしていないパワーサプライよりも、1つのエフェクターに1つのAC/DCアダプターを使うほうが好ましいのですが、その理由は2の、商用電源と目的の直流電源を絶縁する機能があるからです。 同時に、これは、何故アイソレート電源が好ましいのかという理由にもつながります。
2次側同士は既に繋がっている
まず、1次側と2次側が絶縁されている必要があります。 今回の場合、エフェクターボードでいうと、「1次側」というのは、コンセントからAC/DCアダプターのAC側までで、「2次側」というのはAC/DCアダプターのDC側からボードに繋がっているエフェクター群全部です。 エフェクター群全部というのは、
〇ギター
〇エフェクター全部
〇アンプ(の電源部を除く回路全体)
の事です。
これはこの記事でも紹介しました通り、日本のような2極コンセントの場合、逆挿しの可能性があるときには1次は浮いている必要があるからです。
そして2次側同士は、既にシールドケーブルで繋がっています。 シールドケーブルはこういう構造をしています。
真ん中の線で信号(音)を通して、外側の網線が機器と機器のグランド同士を接続すると同時に信号を周囲のノイズから守ります。
機器と機器のグランド同士を繋がないと、基準としてのグランドがどの電位かはっきりしなくなり、電流が流れなくなるので機器が動作しませんので、繋ぐ必要があるのです。
絶縁すると何が起きるのか、または起きないのか
長くなったので続きは次回。