前回の続きです。
シールドケーブルでつなぐと信号の他にグランド同士も接続される
電源の方向から回路を見ていくほうがわかりやすいのですが、そろそろ飽きてきましたね。 いったん、肝心のエフェクター回路方向から見ていくことにします。
これはPASキットショップで販売していたGrandODで、TS系回路です。 ご存じない方のために念の為書いておきますがTS系というのはチューブスクリーマーというオーバードライブなどと分類される回路で、ありとあらゆるオーバードライブのうち8割は、ほぼこんな感じの回路です。 回路図の見方は今後書きますが、今回はグランドにだけ注目してください。 グランドというのはR3の下などにある、まさに地面に繋がれているような形をしたマークの事です。 なお、このマークは一般的に使われていますが正式にJISで決められている記号はグランドやアースだけでも何種類もありますので興味のある方は調べてみてください。
この回路にはグランドマークが13個ありますが、これはすべて繋がっています。
繋いで描き直すとこうなります。
今回は回路の動作は関係ないのでちょっと簡略化します。
さて、続いてはこのオーバードライブを2つ繋げます。
これで、2つの回路が共通の1つのグランドになるわけです。
AC/DCアダプターでそれぞれ別々に電源を接続する
さて、この状態ではまだ電源に繋いでありませんので、電源に繋ぎましょう。
2つ(AとBとします)のエフェクターに、それぞれ1つずつ、AC/DCアダプターを繋ぐと、AC/DCアダプターは1次側(コンセント)と絶縁されていますので、Aのアダプターのグランドと、Bのアダプターのグランドは「電源経由では」繋がりません。
パワーサプライで電源を接続する
また別の回路図です。
これは一般的な、アイソレートされていないパワーサプライです。 9Vを作って、それを分岐させています。 2出力にしていますが、8出力だったらこれが8分岐になっているということです。
これを使って先程の2つ繋げたエフェクターに電源を繋ぎます。
さあ、これが「グランドループが生まれた状態」です。 グランドループとは、グランドが輪っかを作った状態です。 どこが「輪っか」なのかを見てみましょう。
グランドループを解消する
グランドループが生まれるとどうなのかといいますと、ノイズが発生することがあります。 グランドループという輪は一種のコイルですので、この輪に磁束が通ると電流が流れて、ノイズを発生するんですね。 対策としては、
〇ループを切る。 例えば先程の回路図でいうと、パワーサプライ内部でグランドが繋がっていますし、AとBのエフェクター同士もグランドは繋がっていますので、Aに供給するDCケーブルは普通のものを使い、Bへは電圧だけを伝える線だけつなぐ(つまりこのDCケーブルのグランド側の線を切る)と、ループがなくなります。
〇ループの輪っかを狭くする。 輪っかに磁束が通り抜ける隙間が狭いほど通る磁束が減りますので、線を束ねるなどして輪っかを狭くします。
このように対策することで、純粋に接続によるグランドループだけがノイズの原因だった場合、改善することがあります。
ここまでのまとめ
以上で一般的なアイソレートされていないパワーサプライを使用した場合の、グランドループ対策をすることができました。 次回は、
アイソレート電源とは何か。
充分にアイソレートされていない場合がある。
アイソレートはどうやって実現するのか。
以上の3本立てでお送りします。