PASのブログ

PASの中の人が書く雑記ブログです。

製品の価格について思うこと。

今日たまたまTwitterでこのようなツイートを拝見しました。

この方とは相互フォローではありませんので、どういう方か存じ上げませんが、前後のツイートを読んでみると、効果は抜群だと言ってらっしゃる一方、自作ならば2000円程度で作れるとも言ってらっしゃいますので、行間を読むことは難しいのですが、いいね!の数を見る限りでは、話題になっているのだと感じました。 毎度念の為書いておきますが、このツイート主さんを批判したりつるし上げたりする意図は全くありませんのでそのあたりご理解ください。あくまでイメージの源になった、というだけのことです。

そこで今日は、製品の価格はどの程度が適当なのか、どういう構造なのかについての僕の所感を書きます。

まず原価をどう見るか

例として、先程の製品、JHS PedalsさんのLittle Black Amp Boxという製品なのだと思われますが、こちらには部品としては以下のような部品が使われているようです。 価格は1個単価で買った場合の大体の目安です。

HAMMOND 1590Aくらいのアルミダイキャストケース 800円

ケースの塗装 500円~5000円(業者さんによって幅がありますが1個だと5000円ほどかかります。)

穴あけ 500円~2000円

フォンジャック 2個 だいたい各300円

可変抵抗 100円

配線 100円

塗装 500円~5000円

この見積もりで考えると、最安で3100円程度ですね。

無塗装、印刷なし、穴あけ加工も自分でやる場合(つまり純粋に部品のみ)で、1600円ですね。

ではこれを作るのに何時間かかりますか?

回路は拾ってきたとして、穴あけして、配線して...だいたい1時間から3時間程度ですね。

時給を1000円としましょう。安いけど。

ここまでを原価として考えると、2600円(塗装印刷なし)~4100円(配線のみ自分でやって穴あけ塗装印刷を最低金額で外注した場合)

となりますね。

大量生産するとコストはどこまで下がるか

大量生産するとコストはかなり下がりますね。

特に塗装印刷穴あけなど、機械でできるものについては半額程度になることもありそうです。

ですが個人的な経験では、100個くらいだと先程の幅を持たせた金額の最低よりもまだ高いですね。つまりほぼ(先程の金額と比較しても)下がりません。

では1000個、10000個ではどうでしょう?

ニッチなニーズの製品ですからちょっとリスキーかもしれませんね。

中間マージンはどうなのか?

代理店、販売店経由でしたら当然ですがその業者さんも利益を取らなくてはなりません。

経費が掛かりますからね。

仮に、先程の4100円という原価で作りまして、メーカーが1000円、代理店が1000円、販売店が1000円利益を取ったとしますと、7100円になりますね。

お、ちょうどですね。市場販売価格と同じくらいになりました。

このマージンで各社運営できるのか?

メーカーの場合

よし、頑張って1000個売るとしよう。そのためには原価4100円かける1000で、410万円用意しよう。そうやって1000個全部売れば、100万円儲けになるからな

え?!ですが、試作もしなければなりませんし、デザイン関係、設計関係、その他何も試算に入ってません。

では、試作を10個やってください。それから設計、デザイン、梱包その他諸々は3日で終わらせてください。そうするとその分の経費が4100×10 + 1000×8×3で65000円だから儲けは93.5万残る。

(設計諸々3日なんて無理だ。。。試奏だけでも1日くらい欲しいのに)分かりました。でも、もちろん電気代や家賃やその他、色々とお金がかかります。

1個1時間で作るとして1000台で125日、+試作と設計その他で5日くらい、つまり130日か...5か月分の固定費で93.5万は消えるな。。。足りないくらいだ。。。

こんな感じで、1000個売っても元が取れません。売れ残ったら赤字です。

同様に、代理店さんは販売店回りにお金がかかりますし、販売店さんは家賃が事務所とは比べ物にならないくらい高いところが多いです。

ちょっと厳しいですね...

原価を精一杯下げてみる

7100円で販売するものを4100円の原価で作っていては何個売っても利益が出ないので、原価を精一杯下げる努力をして半分の2050円にしたとします。

その場合、7100-2050=5050円をメーカー、代理店、販売店で等分に利益配分したとして、1700円程度の利益です。

製造に1個1時間はかかるとして(製造、点検、梱包、発送準備などを含めてですよ?)、部品代は1050円です。

ケース

塗装

印刷

ジャック2個

可変抵抗

箱、説明書

を1050円です。

ちょっと難しいかと思います。

なおかつ、各社販売価格対比で24%の利益率ですね...

在庫リスクや市場規模を考えるとおいしいビジネスではありませんね。

アジア製のエフェクターなどの激安品はどうなっているのか?

中国の楽器フェアに行くと、日本国内で3000円で売られているエフェクターが更に強烈に安かったりします。

バイヤー扱いで大量購入すると、日本では部品も買えないほどの価格になることも。

この辺りは現地の人に事情を聞いたのですが、ちょっと公言できないようなルートからの部品調達があったりもするようですが、基本的には、超大量生産で実現しているようです。

印刷だけ変えて複数のブランドとして売るとか、部品を一部代えて別の製品として売るとかして、とにかく超大量に作る。

現在では人件費の有利性もどんどん減っていく中で、中国をはじめとしたアジアは頑張っているようですね。

結論(まとめ)

いわゆるハンドメイド品や、工場生産品であったとしても全台測定検査、点検、試奏点検などをやっている製品と、どんどん超大量生産品を作って戦略的に売りまくる方式の製品を同じ土俵で語るのはそもそもナンセンスなのかもしれません。

冒頭にあげたJHSさんの製品は、ハンドメイドで超低価格を実現している例としては、見習うべき点が多くあるようです。

僕もハンドメイドメーカーの端くれとして、コストの問題は常にアイデアを絞っています。

近い将来、コストダウンと高品質を両立できるようにこれからも考え続けますよ!