先日思うところがあってTwitterにてこんなアンケートをしました。
音叉を常備してますか?
— ピーエーエスの中の人 (@pasFX) 2020年4月19日
結果は31%の人が音叉を所有し、中にはA=440Hzと442Hzをお持ちの方や、E=329.6Hzをお持ちの方などがいらっしゃいました。

ウィットナー 音叉(チューニング・フォーク) A=440Hz 収納ケース付き
- メディア: エレクトロニクス
その日はなるほど、と思っただけだったんですが、翌々考えてみるとおや?と思うフシが有りましたので、調べてみました。
約0.03Hzの誤差
結論から言いますと、E=329.6Hzという音叉が存在することです。
と言いますのも、厳密には、E(ここでは329.6Hz付近のE4のこと)は、329.6Hzではないからなのです。(329.62755691287…Hz)
ただ、件の音叉を販売しているWittnerをはじめとした音叉メーカーはいわば音階のプロのはずですので、これで許容範囲なのでしょう。
この、およそ0.03Hzの誤差がどれほどのものなのか、検証してみようと思います。
そもそも12平均律の計算方法とは?
出来るだけややこしい計算なしに説明したいと思います。
A4=440Hzのとき、オクターブ上のA5は880Hzになるということは皆さんご存知かと思います。
12平均律はこれを12等分するわけですので、
880(A5)=440(A4)*21ということになります。
文章に書き換えると、
「A5は、A4の周波数に、2の1乗を掛けたもの」
ということになります。
1オクターブ上は、鍵盤で言うと12個上なので、鍵盤一個(半音1つ)の場合は
=21/12
=1.059463094...
という割り切れない数字になります。
この、「1.059463094...」という数字で掛けたり割ったりすることで、目的の音階を割り出せます。
無理数なので、できれば「1.059463094...」ではなくて「21/12」で計算したほうが正確です。
計算式に当てはめて各音階の周波数をできるだけ細かく書いた表を以下に示します。
A3 | -12 | 220 |
---|---|---|
A#3 | -11 | 233.08188075904 |
B3 | -10 | 246.94165062806 |
C4 | -9 | 261.6255653006 |
C#4 | -8 | 277.18263097687 |
D4 | -7 | 293.66476791741 |
D#4 | -6 | 311.12698372208 |
E4 | -5 | 329.62755691287 |
F4 | -4 | 349.228231433 |
F#4 | -3 | 369.99442271163 |
G4 | -2 | 391.99543598175 |
G#4 | -1 | 415.30469757995 |
A4 | 0 | 440 |
A#4 | 1 | 466.16376151809 |
B4 | 2 | 493.88330125612 |
C5 | 3 | 523.2511306012 |
C#5 | 4 | 554.36526195374 |
D5 | 5 | 587.32953583482 |
D#5 | 6 | 622.25396744416 |
E5 | 7 | 659.25511382574 |
F5 | 8 | 698.45646286601 |
F#5 | 9 | 739.98884542327 |
G5 | 10 | 783.9908719635 |
G#5 | 11 | 830.60939515989 |
A5 | 12 | 880 |
ちなみに対数関数的に推移するのでグラフにするとこんな感じです。
セントという概念
市販のチューナーをよく見ると、セント(CENT)というメモリがありますよね?
セントとは、半音で100、1オクターブで1200ということで分割された単位です。
クォーターで50セントですね。
つまり1セントは
=21/1200 ≒1.00057779
です。
329.6Hzの音叉は12平均律とどの程度ずれているのか
前述の表からE4は
≒329.62755691287
と、音叉と比較すると0.0276Hz程度ずれておりますが、計算するとそのズレは
-0.145オンスのズレ、という結果が出ました。
ほとんどの人は1オンスのズレを知覚できないと言われているそうですので、ほぼ無視して良い範囲でしたね。